並列レプリケーションを導入、MySQLフォークの「MariaDB 10」がGAに

 The MariaDB Foundationは3月31日(英国時間)、オープンソースのリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)「MariaDB 10」の一般公開版をリリースした。レプリケーションやNoSQL機能の強化や性能の改善が行われている。

 MariaDBはMySQLから派生したデータベースシステム。米Sun Microsystems傘下で開発されていたMySQLが米Oracleに買収されたことを受けて、2009年にオリジナル開発者のMichael “Monty” Widenius氏らが中心となり開発プロジェクトを立ち上げた。現在は非営利団体のThe MariaDB Foundationの下で開発が進んでいる。多くのLinuxディストリビューションでMariaDBの採用が進んでおり、Wikipediaを運営するWikimedia FoundationもMySQLからMariaDBへのマイグレーションを発表しているほか、GoogleもMySQLからMariaDBの利用を増やすことを明らかにしている。

 MariaDB 10ではレプリケーション、NoSQL、シェーディングなどの機能が強化された。レプリケーションでは、スレーブ上にある複数のクエリを並列実行できる並列レプリケーションや高度なグループコミットなどが導入された。また、レプリケーションスレーブそのものもクラッシュセーフとなった。そのほか複数のマスターサーバーからのデータレプリケーションにも対応、これにより分散したデータの包括的なビューを得られるという。

 NoSQL関連機能では、外部にあるデータに動的にアクセスするためのCONNECTストレージエンジンが導入された。ログファイルなどの非構造データやODBCデータベースなどにアクセスでき、リアルタイム分析やETL(抽出/変換/ロード)に適しているという。Cassandraストレージエンジン、TokuDBストレージエンジンなども加わっている。これらを利用して、MariaDB内から各データベースにアクセスして相互運用が可能になる。5.3で加わったDynamic Columnsでは、NoSQL技術と同じようにテーブルの列に異なるカラムを保存できる機能で、最新版では名前のサポートが加わった。

 また、パーティショニング機能を利用し、異なるMariaDBインスタンス内にあるデータに対する統一的な操作を可能にするSpiderストレージエンジンも導入された。同エンジンにデータベースのサイズを調節するシャーディング機能を組み込むことで、大規模なデータベーステーブルを複数のサーバーに分割し、性能と拡張性を改善できるとしている。

 MariaDB 10はプロジェクトのWebサイトよりダウンロードできる。

The MariaDB Foundation
http://www.mariadb.org/